日本の食品衛生管理の甘さ
昨日、焼き肉店のユッケを食べた子供が死亡したニュースがあった。
経営者は「生食用」でない肉を使い、商品として出していたことを認めたうえで、
「みんなやっていること」のようなコメントをしていた。
このコメント自体に、聞いていて不快感を感じたのは私だけではないと思うが、
そもそも、日本の「食品衛生は甘い」と感じることが多い。
食品衛生法では、海外の基準に合わせ、PRP(一般的な衛生管理基準)が定めてあり、これに基づき、各都道府県の保健所が検査を行っている。
しかし、国内食品製造業で、PRPに沿って実施されているところは少なく、特に、中小零細企業での不実施は多い。
形式上は守っているように見えても、衛生管理という視点はあまり浸透していない。
また、HACCPについても、国際基準に合わせ「食品製造総合衛生管理過程」制度を設け、実施を推奨しているが、その基準には強制力はなく。条文では「この基準に従って県の認証を受けることができる」とある。
「受けることができる」である。
初めて、この言葉を見たときは目を疑った。どういうことか?誰がこの規制を守るのだろう?というか規制ではない。
私は医薬品の出身で、中小の食品工場をみると、品質管理基準はそれなりに厳しいはずの食品工場のレベルが低いのに愕然とすることがある。
そのGAPが大きいがゆえに、積極的に品質管理のレベルを引き上げていく助言も躊躇してしまっているのが現状。
助言したところで、お客さんから「これはやらなきゃいけないことですか」「これで保健所は通りますか」など。。。
リスクマネジメントの視点からは、当然、「必要です」と答えるところであるが、
実際に商売を始めようとしている人に、余計な出費はできないことが多く、「後で考えます」「今は保健所を通るレベルで良いです」が多い。
日本の食品衛生に関する行政も今回の件で、多少変化してくるものと考えられるが、
私自身も今回の事例を挙げ、なぜ食中毒が起こったのか、、リスク管理の視点で、もっともっと食品の製造過程、品質管理過程のレベルを上げていくよう助言していきたい。
GDPが減少し、市場を海外にも求めていかなければならない日本であるが、食品については、特にその分野jは遅れている。いままで、完全に「輸入超」だったためだろう。