福祉がつくる街づくり (2013.02.23 鳥栖新聞随想 投稿)

福祉がつくる街づくり

鳥栖市では障害者理解促進事業として、一昨年、昨年と福岡の障害者就労サービス施設の一つであるJOY倶楽部のコンサートを開催しました。これは“音楽”というみんなが楽しめる文化を通じて、障がい者の可能性を理解し、地域に住む一人ひとりが自然に障がい者とふれあい、自然に、当たり前に一緒に暮らせる社会を作るための取り組みです。

障害者自立支援法という法律のもと、全国で「自立と共生の地域社会づくり」を理念とした各種の施策が打ち出されています。これを分かりやすく表現すると「障がいがあってもなくても共に地域で当たり前にくらせる社会の実現」という言葉になります。

しかし、“障がいを持った人が地域で当たり前に暮らす”。簡単なようでなかなか実現が難しいテーマです。実際には“障がいをもった方が近くにいることを知らない”、“障がいをもった方への接し方をしらない”、“障がいを持った方への支援・サービスは行政や施設の仕事なので自分たちがかかわることはない”など、一般には法律の理念とかけ離れた意識を持たれている方が多いのが現状だと思います。

この意識の乖離を少しでも縮めていこうとする取り組みがこの事業であり、そしてそのテーマとして掲げているのが“障がい者とアート”です。アートとは、美術、芸術のことですが、音楽もその文化に含まれます。障がいがあってもなくてもみんなが楽しめるもの、それが音楽であり、障がいを持った方のあるがままの可能性を表現できるものが美術、芸術です。

一般に“障がい”という言葉は“個性”と捉えることもできます。私たちは、このアートを通じたイベントを開催し、障がいを持った方の個性や可能性を感じることのできる機会や、障がいをもった方とふれあう機会をつくっていきます。そして、“障がいがあってもなくても共に地域で当たり前にくらせる街”をつくっていきたいと願っています。

 鳥栖市手をつなぐ育成会 会長 牧﨑 茂