閑話休題 足の痛み解消に感謝!!

先週の水曜日、足の痛みが消えてきた感覚があったので、
木曜日にランニング&ウオーキングで5kmほどはしり、イかかった場所に不安を感じながら、
次の日(金曜日)も5.6kmのランニング。

これで不安を解消できるまではなかったけど、次の日(土曜日)の朝、出張先の沖縄で約10kmとちょっと、夕方、10kmくらいで、トータルでたぶん21-2kmのラン。

そして、今日、朝約15kmのコースを走り、夕方、すこし足(患部)に負担をかけないようにと、平坦な道を選択し、11kmで、合計26kmのランニング。

いま、これで足はパンパンですが、20日にスタート地点に立てる自信がわいてきました。
というより、行きたくてたまらなくなりました。

かつての計画からは、準備不足も甚だしい状態で、無謀としかいいようのないようなエントリーになってしまいますが、気持ちの面では十分に準備ができたような気がします。

また、想像以上の苦痛と疲労が待っているかもしれませんが、本当にそれが楽しみ。(完全に”M”か)

いずれにしても痛みを消してくれた神様に感謝します。
気持ちが前向きになっている自分が気持ちいいし、心地いいです。

足パンパンで明日どの程度の余力があるかどうか不明ですが。
できれば、朝5:00スタートの20kmランをやりたい。さあ、明日の朝の状態はどうでしょう。

10月20日(日)朝:5:30スタート
目標タイム:12時間(ゴール予測:17:30 ± 30分)

さて、どうなるでしょう。

四万十川ウルトラマラソンまで、あと7日。

”あきらめの悪い男”も意外とかっこいい、と思いながら、
私の”悪あがき”にこうご期待??

GxP QA コンサルタントという仕事 GCPについて(4)

12時ごろ就寝、朝4時起床、昼間は診断士業務で企業訪問、夜はGxPの仕事で海外からやいのやいのの催促、、遅れていた仕事が昨夜漸くひと段落のところまで来ました。ほっとしています。

しかし、催促はないけど、9月中に終わらしておかなければならなかった仕事もまだまだ沢山残ってます。昨夜までの仕事に比べるとジャブみたいなものですが、本日中に、そのあたりも処理したいと思います。できれば。

それから、本日、新事務所の机等の什器の搬入。
少しづつ、事務所が出来上がっていきます。われながら、楽しみです。

さて、今日は、下記の治験依頼者=スポンサーの業務のうち、QC担当者について、書いておきたいと思います。

1. モニターまたはCRA(Clinical Research Associate)
2. QC担当者
3. データマネージメント
4. 統計解析
5.メディカルライティング
6.治験薬管理

海外にはこの業務が、そもそも存在しないことも多く、日本特有の仕組みのようです。しかし、最近はいろんなステージで品質管理・チェックを行い、データの信頼性を確保する努力が行われるため、海外でもこの機能がちらほら見えるようにはなりました。

この業務、特に決まった業務内容があるわけではありませんが、主にモニターの業務の監視、サポートといったところが業務になります。

チェックするものとして、
1.モニタリング報告書(施設および治験責任医師の選定から、治験実施中のMVR(Monitoring Visit Report)について、内容をチェック。
2.モニタリングのスケジュール管理、
3.必須文書の準備(施設へ渡すファイルの管理)
4.IRB申請資料の準備
5.CRFの一次チェック
6.手順の管理、
7.資料の一時保管 などなど。

多岐にわたります。「モニタリングの業務全般のサポートを細かくサポートする役割」とでもいえるような気がします。

CRF(症例報告書:Case Report Form)については、モニターが治験施設から回収し、データマネージメント部門へ送りますが、その前に簡単なチェックをします。
最近は、EDC(Erectric Data Capture)が、主流になってきており、電子データのプロセスの中に、QCチェックが入っていることもあります。

そのほか、直接モニタリングに関連しないところで、資料の一時保管や、モニタリグ手順の管理をする業務もこの担当者が担うことがあります。

なお、委託や共同開発では方法を統一するために、手順書またはモニタリングプランを作成し、自社のSOPと違う手順を履行することもありますので、その場合にその手順書履行の管理をこの担当者が担うことがあります。

いずれにしても、企業により、治験依頼者により、作業する内容は異なりますが、上記のような作業をQC担当者は行っています。

さて、次はモニタリングと双璧の業務、データマネージメントについて解説します。

以上

GxP QA コンサルタントという仕事 GCPについて(3)

昨日は北九州市立大学で、Toastmasters Club の 11/17に行われるTall Tale スピーチコンテストの全国大会のリハーサルでした。私の役割は英語コンテストの総合司会で結構みっちり練習させられました。話す感覚も少しわかってきたので、練習のかいはあったように思います。

それに、足。いつもの愚痴になりますが、今日は完全に悪化していて、普通に歩いていても痛い状態でした。とても走れる状態ではない。。。憂鬱になります。10/20のウルトラはとても無理そうです。しかし、まだあきらめはつきません。なんとかならないものか。。。。

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さて、今日は、前回の臨床試験の話の続きになりますが、
製薬会社、医療機関で臨床試験を担当する各職務について、簡単に解説していきたいと思います。

ここで書いた役割を全部説明していくと、またかなり時間を食いそうなので、
今日は、製薬会社のほうから説明します。こちらだけでも、役割はたくさんあるので、途中までになるかもしれませんが、できるところまで書いてみます。

まず、製薬会社のことを臨床試験では、多くの場合「治験依頼者」と呼びます。
多くの場合というのは、最近は(平成18年から?)医師主導治験という臨床試験もGCPの適用範囲に加わってきたので、治験依頼者=製薬会社という構図以外の臨床試験も実施されるようになったからです。

そのなかで、治験の流れとしては
1.治験実施計画書を作成し、
2.治験薬概要書を作成し、
3.臨床試験の実施医療機関を選定し、
4.臨床試験を実施(治験薬の投与)、
5.臨床試験データを収集、評価し、
6.治験総括報告書にまとめる。
というような流れになります。

この流れの全体を統括する役割が、プロジェクトリーダー/マネージャーと呼ばれる存在で多くの場合、実施医療機関のモニタリングを担当する部署から、リーダーが選出され、その中で、治験ごとの役割がアサインされます。プロジェクトリーダーは、治験全体を統括し、治験依頼者がわの総責任者となります。

このプロジェクトリーダーが統括するのが、下記のような業務になります。
製薬会社によって多少の違いはあるかもしれませんが、多くは次のようなものになります。

1. モニターまたはCRA(Clinical Research Associate)
2. QC担当者
3. データマネージメント
4. 統計解析
5.メディカルライティング
6.治験薬管理

このほか、資料保存、SOP管理、教育訓練などを担当する部署があり、それぞれの役割があり、治験依頼者としての全体の臨床試験の実施体制ができます。

また、これらとは別に「監査」という部門が、上記の部署とは独立して組織され、治験全体の妥当性を評価します。監査については、別でまた説明しますが、ここでは1~6の業務について簡単に説明します。

1. モニターまたはCRA(Clinical Research Associate)
業務的としては、”モニタリング”つまり、”監視”が仕事になります。
しかし、ただ監視するだけでは、治験が適切に行われなかったとしても是正することができませんので、監視に加え、治験を適切に実施してもらうために”誘導”していくことが大きな仕事になります。

具体的には、臨床試験を委託する実施医療機関で実施される臨床試験が試験実施計画書(プロトコール)に記載された内容できちんと行われることを誘導するのが仕事になりますが、下記のような手順でモニタリング活動は行われます。

1) 実施医療機関の要件確認
2) 実施医療機関へのプロトコールの説明
3) IRBへの対応誘導
4) 必須文書管理に関する誘導(SMFのフォーマットの提示等)
5) 患者(被験者)の登録状況の確認
6) 治験の進捗状況の確認(定期訪問)
7) SDV(症例報告書への記載内容の確認、カルテとの整合性確認)
8) 症例報告書への記載内容およびAEに関するクエリー対応
9) 治験実施計画書からの逸脱事項への対応
10) 治験終了手続き 

モニタリングの活動を行う担当者のことをモニターもしくはCRA(Clinical Research Associate)と呼びますが、治験を実施していく中で、もっとも重要な業務になります。モニタリング活動が不十分であると、治験データそのものが使えないものになってしまいます。

使えないと、申請データが十分に収集できないことになりますし、被験者(患者)に対して倫理的にも問題のある行為となる可能性があります。ですので、モニターを担当する人はそれなりの責任感が必要になります。

話の途中ですが、今日はこのあたりにしておきます。
このあと、続きの下記の役割について、説明することにします。

2. QC担当者
3. データマネージメント
4. 統計解析
5.メディカルライティング
6.治験薬管理

それでは。

GxP QA コンサルタントという仕事 GCPについて(2)

◆昨日までドイツで、1stEQACに参加してきました。
学会そのものはとても良い感じで、目的としていた会議(Global Audit Guidelien)も無事前に進めることができました。

一つ残念だったのは、スイスのQA研究会の元会長(Rita-san)、会って仕事のアライアンスの話をしようと思っていたのに、学会には参加していなかったようです。4月に会った時は、親の介護に加え、Rita-sanの代わりに介護を手伝っていてくれたご主人も具合が悪くなったそうで、入院してしまったとか。。そんな話をしてましたので、今回参加していなかったのも、そのせいかと心配しました。

いずれにしても、一度連絡をとってみたいと思います。

◆それから、別の話ですが、(少し話が長くなってしまいますが)
今日、帰国後、一番気になっていた足の状態を確かめるため、ランニングをトライしてみました。走りだしは、いつもより違和感は少なかったので、なんとかなるかと思っていましたが、300mほど走ったところで、黄色信号がでだし、痛みが増幅してきました。

これは途中で消える痛みではないと判断し、ランニングをそこで中止しました。
本当に残念。エントリーフィー、宿泊代をいれるとすでに2万5千円以上は払っているのに、、、それに、6月の怪我での失敗で、相当気持ちも入れて、練習していたのに。。とかなり残念、ほんと It was so disapointed でした。

自分のことですが、本当に情けない。残念。悔しい。やり場のない気持をどこに持って生きようもない状態になってしまいました。

でも、結局のところ、現状を受け入れるしかなく、現状でできることの最大の努力をしていくしかない。

人生は、これで終わりではないし、来年も、再来年も。。。ずっと続く。
なので、今年3回目の怪我の反省を踏まえ、今を考え、来年に備え、この悔しさ、むなしさを晴らしていければ、

いまは苦しいけど、きっと、こういうこともあったな。。などと喜びに付加価値をつけることができるようになっているだろう。それを期待して、今は、足を直す(安静)に注力することとした。

しかし、私もあきらめの悪さでは、人には引けを取らないので、まだ、四万十を走るのをあきらめたわけではない。

治ればらおった時点で、練習を再開し、
治らなくても、走れるところまで、本番では走ってみたい。

そして、次の年、機会で最大限の成果(喜び)を得たい。
そんなことを今は考えています。

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さて、これだけでも、長くなってしまいました。すみません。
今日は、前回話をするといった
「◆臨床試験」について解説してみます。

「臨床試験」。
人を使った薬の実験のことですが、その仕組みや、かかわっている人たちはかなり多く、組織的にもかなり複雑です。

Phase1,2,3という臨床試験のステップについて、すこし詳しく解説します。
そして、その臨床試験の運営に携わる人たちの職務について、それぞれ説明します。
治験依頼者(Sponsor)、医療機関(Medical Institusion)、IRB(Institutional Review Board)などの、それぞれの中の組織で働く人の役割について、解説したいと思います。

そして、一番面白い、最近の臨床試験の傾向などについて、説明します。

◆さて、臨床試験のPhaseについですが、
俗に臨床試験というと、
第Ⅰ相試験(フェーズ1)から第Ⅳ相試験(フェーズ4)まであります。

第Ⅲ相試験(フェーズ3)の終了後、
国(厚生労働省)に承認申請を行い、審査を経て承認されると「新薬」として製造・販売されます。

第Ⅳ相試験(フェーズ4)では
副作用などについての製造販売後臨床試験が行われます。(これは新薬の場合です)

それでは、第Ⅰ相試験から順に、臨床試験のPhaseを説明します。
◆第Ⅰ相試験(フェーズ1)・・・臨床薬理試験
まず、このPhaseの目的ですが、目的は、次の2つになります。

・人での安全性確認
・人体における薬の代謝(Pharmacokinetics)

被験者は、比較的少人数の患者さんや健康な成人が対象です。
「薬(くすり)の候補」が体内でどのように吸収され、排泄されるかなどの基本的な調査をします。

動物実験の結果をもとにはじめて人間に投与する試験になります。
すべての薬で、動物実験をクリアできると、このPhaseに入ってきますので、試験としてはかなりの数が行われています。

しかし、この段階で、副作用が顕著になり、医薬品化を断念する薬も多く、約半数?はこの段階で、消えていきます。

このステップで行う治験の目的は、ナント言っても人間に対する安全性です。
どこまで量を増やしたら、どんな副作用が起こるかを試す試験も行います。
この試験で、PhseⅡ-Ⅲで投与実験する、安全性から考慮した最大の容量を決める試験も行います。

◆今はGCPが施行され、Phase1試験もすべて病院で行うようになっていますが、GCP施工前は、各製薬会社内で、職員を対象にボランティア試験が行われていました。

その他、安全性の情報の他に、体内でどのように治験薬が代謝され、排泄されるかを調査も行います。その目的で、定間隔で採血されるし、採尿されるし、場合によっては糞も採取されます。ここで、薬物のみでなく、活性のある代謝物なども同定されます。

多くは、動物実験段階で発見されているので、その物質との同一性および血中濃度の変遷等をおったりすることもあります。

またまたそのほかですが、
最大投与量だけでなく、健常成人を対象に連続投与試験をするのも、このPhaseです。

◆このPhaseを要約すると、
 1.短回投与試験(容量は、動物実験からの推測)
 2.連続投与試験
 3.高容量試験

いずれの試験でも血液の採取を行い、PKデータの採取を行い、このPhaseの評価を行います。

◆第Ⅱ相試験(フェーズ2)探索的臨床試験
この相(Phase)の目的は
  ・初めて患者さんに使用して、その有効性を探る 
 ということになります。

また、このPhaseでは、前期第Ⅱ相と後期第Ⅱ相の二つに区別した試験を実施しますが、
それぞれ、下記のような内容になります。

 前期第二相:用量の効果確認試験 (用量を増やせば効果はどこまで触れるのか)
 後期第二相:再適用量の決定(効果、安全性から)

投与量に応じて、どのような薬効の変化があるのか、投与量に応じて薬効がでてくるか、などについて、検討します。

臨床試験で使用する被験者は、比較的軽度な少数例の患者さんが対象となります。
(比較的軽度な少数例の患者さんが対象ということ)

◆まず前期第二相試験についてですが、
有効性・安全性の確認と投与方法・投与量などについて調査・確認をします。

PhaseⅠと違い、このPhaseからは、実際の患者さんに投与して、薬の効果を確かめます。
なお、 使われる薬の用量範囲は前の第1相で安全性が確認された範囲になります。

また、薬が効いている一つの証しとして、用量と効果(反応)が直線的に比例している、というのが根拠になるので、そのあたりも中心に確認することがあります。

Phase2がなかなかうまくいかない場合は、第1相試験の用量を変えて再実験することもあります。

ここで、本当に薬が効果があるかどうかを探すので「探索的試験」とも呼ばれることもあります。

このPhaseでも、比較的少数の患者さんを対象として、どんな病気に効果が有るかを確かめることになります。薬の効果によっては少人数とは言えない数(200人とか)の被験者が参加することもあります。

もちろん、製薬会社もある程度、こんな病気には効くはずだ、というあたりをつけて、新薬を開発しているがのですが、本当に効果があるかどうかを、ここにきて、初めて確かめることになります。おおよそ、製薬会社の予想が裏切られることが多いようです。

ほかには、既に海外での治験結果が知られているとか、販売済みで効果があることが証明できている場合はスキップできることもあります。

いずれにしても、このステップの関門をクリアできるかどうかが、多くの場合が運命の別れ道となっています。

<後期第2相の主な目的>
このステップの大きな目的は、「最も効果が出て、副作用が出にくい」治験薬の量を設定することにあります。

例えばここに高血圧の治験薬「A]が有ったとしましょう。
この場合、次のように治験薬の成分量を振り分けます。

プラセボ:有効成分無し
治験薬A1:有効成分が10mg
治験薬A2:有効成分が20mg
治験薬A3:有効成分が30mg

 ここに何故、プラセボ(有効成分無し)を入れるのかというと、人は薬を飲んだという気分だけでも、結構、その気になって効果らしきものが出てくるものだからです。(Placebo効果)
  血圧のように気分に影響されやすいものや痛みというようは自覚症状は、この点を注意しないと、本当に薬が効いているのか、気分的なものなのかが、分からないことになります。

一方で抗ガン剤のように「癌の縮小」というように気分で大きく左右されずに、しかも客観的に(自覚症状ではなく、他覚症状として)計測できるものは、この影響は比較的に少ないようです。

だから、この後期第2相臨床試験は非常に重要な治験なのですが、問題も多いPhaseということもできます。理由は、

まず、プラセボの存在です。
患者さんに治験に参加してもらう場合、当然、そのプラセボがあなたに当る確率(上記の場合4分の1)を事前に説明する。
ここで、患者さんの中には、プラセボが有るのなら、参加しないという答えがあることが多い。(正直言って、僕もたとえば鎮痛剤だったら嫌だ。)

また、治験の結果、効果が最も出るのは有効成分が30mgのものだったとしても、副作用が多数出る場合は、その有効性という恩恵と副作用という辛さをバランスにかけて、最終的には効果もほどほどに出て副作用の発生が少ない治験薬A2が選ばれる場合もあります。

下手をすると、私も経験したことがありますが、ここでプラセボとの間で有効性で統計学的に差が無いという場合もあります。当然、この場合、ここで開発は中止となります。

◆第Ⅲ相試験(フェーズ3)検証的臨床試験
第Ⅱ相試験の結果を踏まえて、
多数の患者さんの治験ボランティアによって最終的な有効性・安全性や投与方法・投与量などを確認します。

(目的)
 ・多数の患者さんに使用してもらう (病気によって、参考例数も示されています)
・現在有る標準的な薬との差を見る

なので、「検証的試験」とも呼ばれます。

いよいよ、治験の最終ステップとなりますが、
承認申請に向けて効能・効果、用法・用量、使用上の注意等を最終的に決めるステップということになります。

用量については、前のステップで推奨された用量(例えば上記の「治験薬A2」)が使用されます。

 例えば高血圧の治験薬だった場合、既に承認され使用実績がある標準的な高血圧の薬(ここではBとしよう)を相手にして、それに劣っていないことを証明する場合も有る。
このような場合、治験参加者さんに使われるのは次の2種類のどちらかである。

(1)治験薬A2(有効成分有り)+標準薬Bのプラセボ(有効成分無し)
(2)治験薬A2のプラセボ(有効成分無し)+標準薬B(有効成分有り)

つまり、(1)を使われる治験参加者さんは、治験薬A2が使われており、(2)の治験参加者さんは、標準薬Bを使われていることになる。

プラセボを含んだ試験を行う場合、医師も治験参加者さんも、治験依頼者もどの治験参加者さんにどちらが使われているかは、治験中には分からないようになっている。

◆また、最近では、この第3相臨床試験と平行して「長期投与試験」も実施されるようになりました。
これは、半年以上の使用例として300例以上、1年以上の使用例として150例以上等というようにして、主に「長期使用した場合の副作用の発現(安全性の情報)」を見るために作られたガイドラインに従って実施されることになります。

この長期試験は、その治験薬が新薬として承認されるまで(つまり申請後、審査中も)、治験薬を治験参加者さんに使ってもらえる手段としても、使われています。

今は、もし治験参加者が希望し、長期投与試験に基準に合致さえすれば、承認され処方薬として使われるまで治験薬を使えるという道が残された形になっています。

しかし、ここにも実は落とし穴が潜んでいて、有効性や安全性に問題が無かったとしても、その治験で重大にGCP違反が発見されると、その申請データは却下される、ということになります。こうなった場合、決断を迫られるのは、製薬会社である。

もう一度、治験をやり直すのか、もう開発を中止するのか、その場合、長期投与試験に参加中の治験参加者さんはどうなるのかなど、複雑な難しい問題への対応が迫られることになります。

この最後の第3相臨床試験が無事に終り、標準薬よりも有効性も安全性も劣っていないことが証明できたら、承認申請を当局に提出することになります。

◆第Ⅰ相~第Ⅲ相試験で得られたデータや臨床成績をまとめ、 国(厚生労働省)に承認申請を行い、厳しい審査を経て承認されれば「新薬」として製造・販売することになります。

◆しかし、治験は終わりますが、薬の有効性や安全性の情報収集は、実はここからが本番になります。 治験という特殊な状況で使用されていた時と違い、通常の診療下において、どのような副作用が出るか分かりません。

また、多くのデータが集まってくると、いろんな問題が分かる。例えば、ある種の薬と併用すると思わぬ副作用が出たり、長期に使うと、別の病気を誘発するとか、さまざまな問題もこの段階では含んでいます。

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◆PhaseⅣについて
 新薬は世の中に出てからが、本番です。

◆第Ⅳ相試験(フェーズ4)製造販売後臨床試験
第Ⅲ相試験よりもさらに多人数の患者が対象です。
新たな成分・用法・用量・効能などに加えて、第Ⅲ相臨床試験までの結果では得られなかった副作用などについても追跡調査をします。

目的は、実際の病院の現場で、効果と安全性が、当初の目的通りでているかどうか、副作用、使用時の不都合などがないか、製造販売後の商品について、さらに綿密に効果の確認をすることになります。

以上が、臨床試験を実施するひとの役割の除いた、簡単な臨床試験のステップになります。

上記のほか、各製薬会社では、マーケティングを目的とした臨床試験(併用試験、使用試験、切り替え試験)も実施されます。このあたりは、品質保証にかんしては今までそれほど厳しくはありませんでしたが、

N社の抗がん剤のデータのねつ造等の話題もあり、この手の承認申請、再申請を目的としない臨床試験も最近増えてきています。

以上、すこし長くなりましたが、ここまでは臨床試験のPhaseの説明でした。

次回は、製薬会社、医療機関で臨床試験を担当する各職務について、簡単に解説します。

以上。

GxP QA コンサルタントという仕事 GCPについて(1)

昨日から1st EQAC(European Quality Assurance Conference) が始まりました。
この会議。学会に参加すると、私のこの仕事のモチベーションが上がります。

今回、以前から入る入るといって、なかなか入っていなかったイギリスのQA団体、RQAに入会希望を出しました。この会の前会長のAndrew Waddelさんに気持ちよく保証人役を引き受けていただき、無事登録できました。

これで、日本(JSQA)、米国(SQA)そして、イギリス(RQA)のそれぞれの会員になりました。プロとしての情報網はだいぶできてきたように思います。

さて、今日からGCPについて、ということですが、
これから、説明していく、目次について今回は紹介しておきます。

1.臨床試験について
2.GCPの歴史、そしてICH-GCP
3.プロトコールについて
4.臨床試験を構成する各担当者の役割について
5.GCPの国内の動き
6.その他(この後は、また書きながら)

◆臨床試験についてでは
Phase1,2,3という臨床試験のステップについて、そして、その中で働く人の各役割について、第3者機関であるIRB(Institutional Review Bord)について、そして最近の臨床試験の傾向などについて、説明します。

◆GCPの歴史、そしてICH-GCPについては
GCPという基準が施行された背景、そしてICH-GCPの現状(ほぼ世界じゅうに普及)
そして微妙な各国の違うなどについて説明します。

◆プロトコールについては
閑話休題的に、我々の仕事で重要な役割を閉めるプロトコール。俗に計画書といいますが、実は違う解釈の仕方があります。このあたりを、説明します。

◆臨床試験を構成する各担当者の役割について
では、プロジェクトマネージャ、モニタリング、データマネージメント、統計解析担当者、Medhical Writing、安全性情報(AE)などの各役割、必要性について、解説します。

◆GCP国内の動き
ということで、最近の国内GCPの動き、活発化しているところなどを解説します。

◆その他・・では
その時までに整理したいと思いますが、アジアのGCPの状況などについて、書いてみようかと思っています。(しかし、今のところ未定)

こんな感じで、書いていきたいと思います。

GxP QA コンサルタントという仕事 プロセス管理

昨日からドイツのケルンという街に来ています。
しかし、旅行代理店には、ボン市内といったつもりが、なぜか隣町に宿泊することになっています。もう少し早く気づいておけば・・・などと思っていますが、

まっ、近くにケルンの大聖堂はあるし、こっちのほうが街だし、いいか。
それに、タクシーだとお金もかかりそうな距離なので、どうしてもバスとか電車とか使って、隣町のボンまで行かないといけなさそうなので、それも、あまり経験することはないので、挑戦してみたいと思ってます。

しかし、いずれにしても、移動に1時間くらいはかかりそう。困ったもんだ。

さて、今日はプロセス管理という言葉についての解説になりますが、
まず、プロセス=工程 という言葉で考えます。

工程という言葉を聞いたことがなければ困ってしまいますが、とりあえず知っているという前提で説明します。

品質管理でなぜ工程管理(プロセス管理)ということかというと、

理由は、最終製品の検査だけでは、問題が起こった時に、何が欠陥でその問題・クレームが起きたのかまでは、分かりますが、なぜ、その欠陥原因が起こったのか?までは分からないから、

プロセスを管理するとは、その工程の中で「誰が」「何を」「どうする」ということを決めて実施する。ということになりますが、

こうすることで、欠陥の発生原因を特定することができ、問題点の解決につなげやすいということになります。

また、この工程を正確に動かしていこうとすると、さまざまなものが必要になってきます。それが、工場生産の場合だと生産計画、手順、教育訓練ということになり、これらをきちんとやっているかどうかを監視(モニタリング)していく、というような役割も発生してきます。

例えば、製造工程を簡単な図で示すと

原料 → 一次加工品 → 二次加工品 → 三次加工品 → 包装 → 最終製品 

このそれぞれのステップに対し、
1)納期、生産量等を計画(決める)のが、”生産計画”であり、
2)「誰が」「何を」「どうする」という風に決めるのが”手順”であり、
3)これらを徹底させ、スピード向上させ、間違いをなくすために”教育(トレーニング)”を実施します。

これらの品質管理の基本を示しているのがISOですが、その中でも、プロセスという言葉をしつこく説明しています。なかなか分かりにくい言葉ですが、

要は、いまからやることをきちんと計画してから実施しましょう、勧めていきましょう、ということで、

これによって、(Plan)、実施し(Do)、検証して(Check)、改善策(Action)を実施していくというPDCAを回すことができ、品質を恒常的に改善していくことができる、という考え方に基づいています。

私の仕事のQAですが、”検証”のcheckのところに当たる場合もありますが、
このPDCAサイクル全体が、回っているかどうかも、QAの対象となります。

工程管理、プロセス管理を含めた、品質システムという概念になりますが、これについては、GCP等の他の個別の規制の解説をするときに、また改めて解説します。そのほうが分かりやすいのでは、、と思いますので。

次回は、私の仕事として一番ニーズの高い、GCP、臨床試験のQAについて、少しずつ話を進めていきたいと思います。

GxP QA コンサルタントという仕事 監査と自己点検

今日で、ランニング休み3日目。
今年の1月に痛めていた、左足のアキレスけん直上の軽い、肉離れ様の症状。
四万十川ウルトラまで、あと1カ月と迫ったところでの、怪我。。。やばい。とおもいつつ、思い切って、休んでいる。

明日には、軽く走ってみたいと思ってはいるけど、中途半端な状態だと、100kmの途中で、またもリタイヤ。そんな悪夢が頭をよぎる。 完治を待つ ⇔ 練習しなくては この気持ちの葛藤がつらい。

足の状態から推察すると、あと2-3日でなおりそうな気配もあるが、
しかしわからない。まだ、納得のいく体作りができていない状態なので、気持ちの中での焦りとの戦いが続いている。

とは言え、気持ちは切り替えて、なんとか出場して、ぼちぼちと完走したい。そんな風に思いながら気持ちを鎮めている一日だった。

さて、今日は、監査、自己点検、信頼性保証について、簡単に解説します。
私の説明しているQAという仕事、別の言葉では、Auditor という仕事になります。

日本語にすると”監査実施者”、”監査担当者”ということになるのですが、前回までで説明した、各薬事規制のなかで、それぞれ呼び方が違っています。

例えば、GLPでは、「信頼性保証」ということばが使われており、これを担当する部門の責任者を信頼性保証責任者、実施者を信頼性保証担当者などと呼んでいます。

英語で説明すると、信頼性保証は、Reliability assuranceという言葉になるのかもしれませんが、担当者についてはGLP AuditorもしくはQuality Assurance (QA)と呼ばれています。

臨床試験では、同様の信頼性保証という仕事にハなるのですが、”監査”という言葉が使われており、部門に対しては監査部門、その役職が、監査責任者、監査担当者というふうに言われています。

また、製造(GMP)および製造販売後(GQP,GVP、GPSP)の規制では、自己点検という言葉が使われており、それぞれ自己点検部門、その役職を自己点検責任者、自己点検担当者と呼んでいます。

しかし、これらの信頼性保証担当者、監査担当者、自己点検担当者はいずれも、英語で仕事を説明しようとするとAuditorとなります。
GMPではQAというと、少し意味が違ってくるので、GMPにおいては、QAとAuditorを使い分ける必要があります。

しかし、私の仕事はあくまでも上記の担当者の業務の代行ということになるので、Auditor ということばで説明できます。

もともと、これらの薬事規制の中では、GxPという薬事規制そのものが、品質管理の基準であり、その品質管理の基準にそって、医薬品の開発研究、製造管理・品質管理、安全管理が行われたかどうかを、実施した当事者が保証しなさい、という意味で、品質保証(Quality Assurance:QA)という役割が設定されています。

ここでいう”保証”これはやったことに対し、やった実験に対し、間違いやうそがないことを100%責任を持ちなさいということなのですが、各規制の対象となる試験(動物試験や臨床試験)では、その規模やかかわっている人の違いなどにより、すべてを保証することができない。

なので、「信頼性を保証しなさい」≒「うそをついていないことを保証しなさい」というニュアンスに変わっています。
それでも、GLPの場合、実施する試験そのものが、臨床試験と比較すると小規模なのものなので、比較的、”保証”という言葉が使いやすく”信頼性保証”という言葉が使用されています。

一方、臨床試験(GCP)になると、実験そのものが、製薬会社だけでできるものではなく、医療機関や医師、試験検査機関等、さまざまな組織がその試験の中に組み込まれ、試験の実施方法も、治験薬管理、モニタリング、データマネージメント、統計解析、メディカルライティングなど、複雑になっています。

また、PhaseⅡ以降の臨床試験になると、ほとんどが多施設共同試験となり、複数の実施医療機関で試験が実施されることになります。
こうなると、監査して、試験全体の信頼性、品質を保証しなさい。という規制はひきづらく、また、特に医療機関の先生方に、細かい品質管理指導をしにくい状況もあり、保証はできないけれど、監査して、その実施状況だけは、確認してください。ということになっています。こういう状況なので、臨床試験では、”保証”ということばは使用されていません。

GCPという規制がひかれるとき、最も参考にされたのが、ISOというヨーロッパの品質管理基準です。この中で監査ということばが、業務プロセスを監視する方法として用いられており、これがGCPでも採用されたようです。

ちなみに、この”監査”という言葉ですが、もともとこの言葉の語源であるラテン語では、単に、”人のはなしを聞く”という意味のようですので、私たちが感じる”監査”という言葉の重さからは、少し軽い感じでもともと使われていたようです。
監査という言葉に関しては、また、別のところで説明したいと思います。

さて、GMPやGVPなどでつかわれる自己点検についてですが、内容はAuditという仕事なのに、なぜか自己点検ということばが使われています。

なぜか?これは、製薬会社の状況(医薬品産業の状況)を映しているといってもよいように思います。
米国においては、大企業とベンチャー企業およびゾロメーカー等の小規模企業の2極化が進んでおり、小規模のメーカーは一定の規模になってくると大企業のM&Aの対象となり、消滅していきます。(薬は残りますが)

一方、欧州および日本では、昔ながらの小規模な製薬会社が多く存在し、家内制的に医薬品の製造・販売が行われているところも少なくありませんでした。

そこで、GMPという製造管理・品質管理の概念が導入されるということになるのですが、小規模の企業の場合、社内のスタッフ数にも制限がありますし、監査部門やら他の薬事規制上必要な部門を社内に設置し、教育等実施していくことに対し、かなり難しい状況がありました。なので、第三者的な対応を求める”監査”部門という組織を要求せず、あらかじめ決められたものが自己点検(Audit)をするよう求める規制となりました。

しかし、GMPの場合、製造方法間違った医薬品、または欠陥のある薬を世に出すと、患者へ大きな影響を与えることになり、薬によっては生命の危機にも直面することになります。

ですので、会社として、責任をもってください ということで、Auditorという役割とは別に、QA(Quality Assurance)という役割を設定し、全体の品質を、医薬品の品質を保証してください。という薬事規制がひかれています。

製造販売後の安全管理の基準で使用されている自己点検も、状況的にはGMPと同様で、会社の体力があまりない製薬会社に配慮した結果のような形になっています。

しかし、製造販売後の安全管理については、最近欧州発で、新たな規制の体制が普及しつつあり、今後、EMAのGVP規制を中心に、規制の世界標準作成(harmonaizaton)は進んでいくものと思います。

いずれ、この部分についても、解説を入れたいと思います。

私の仕事は、GxP QAコンサルタントなので、これらのほぼすべての規制に対応できる、QA、Auditorということで、売っているですが、この幅の広さも業界の中では少し珍しい存在かもしれません。でも、これが私の”売り:sales point”ではありますが。

いずれにしても、今日紹介した、信頼性保証、監査、自己点検、いずれの言葉も、英語では、Auditorとして説明できるもので、
いずれも”第三者的な対応”、”改善提案”を求める業務となっています。
薬事規制や企業でのこれらの実施状況をある程度理解できれば、仕事になりますし、企業に対してや、医薬品開発の段階で社会の役に立つことができる仕事です。

また、一つの企業に所属していた時より、より幅広く、医薬品にかかわることができているので、やりがいも感じています。

明日は、第1回欧州QA会議(1st EQAC)に参加するため、ドイツに飛んでいきますが、ここでも新しい情報をまた仕入れてきたいと思っています。

次回は、もう一度、薬事法のところに帰ろうと思っていましたが、
監査という言葉を理解するために必要な”プロセス管理”という言葉について、解説したいと思います。

GxP QAコンサルタントという仕事 薬事法(3) 医薬品のライフサイクル

いつもはランニングのことばかり書いているこのブログですが、
会社の新事務所を自宅から外へ出すことを決意したことを契機に、私の仕事の内容を整理しています。

4年間、自分自身の生き方を考え、迷い、いろいろなことにチャレンジし、
その中で、最近になって、この仕事につちえも強く流れを感じるようになりました。
ここからこの強みを活かして、ビジネスを拡大し、私自身も成長し、力をつけていき、最終的に私の夢(ゴール)である、障害者雇用1万人の企業の成立を目指したいと思っています。

ゴールから考えると、まだまだ、よちよち歩きの段階ですが、ゴールの大きさに、また遠さに
 怯むことなく、
 焦らず、
 はつらつと
前に進んでいきたいと思っています。

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さて、今日は、昨日までの解説に引き続き、医薬品の承認申請を含めた薬事法の規制について、医薬品のライフサイクルという切り口で説明してみたいと思います。

ライフサイクルといって、どんなことをイメージするでしょうか。
人生のことです。

人が生まれ、幼稚園、小中高と学校で勉強し、大学に進学し、社会に出る、そして社会のルールにもまれ、最後は人知れず姿を消していくことになります。これが、ライフサイクルであり、”人”を”薬”に置き換えて、考えてみることを、医薬品のライフサイクルとして説明します。

GxP QAの仕事の中で、CSV(コンピュータ システム バリデーション)というエリアがありますが、ここでもライフサイクルという概念はとても大事になりますが、今日はすこし大な概念として、医薬品のライフサイクルを考えます。

実は、昨日まで説明した医薬品の承認申請資料の作成ステップについても、このライフサイクルに充てて考えることができます。
医薬品が生まれて、世にでるまでの間を、医薬品として習得していかなければならない機能・能力を、データという根拠で説明していくステップとなります。

簡単に、ざっと、承認申請資料の中身を見ていくと、昨日の解説で、次のような引用がありました。

イ 起源又は発見の経緯及び外国における使用状況等に関する資料、
ロ 製造方法並びに規格及び試験方法等に関する資料、
ハ 安定性に関する資料、
ニ 薬理作用に関する資料、
ホ 吸収、分布、代謝、排泄に関する資料、
へ 急性毒性、亜急性毒性、慢性毒性、催奇形性その他の毒性に関する資料、
ト 臨床試験の成績に関する資料、

これが、まさに医薬品のライフサイクルの中で、世にでるまでの学校成績を示す段階の説明です。

これに、実際にこの医薬品を育てた親(工場)の評価をGMPという形で行い、
社会にでてから初めてわかってくる副作用の情報(社会にもまれ)などに対する薬事規制(GVP/GPSP)を加え、医薬品の一生にかかわるGxP規制が出来上がっています。

このイトハニホヘトをもっとざっくりと、まとめると、次のようになります。
1. 医薬品の発生起源があり、
2. 医薬品の暫定規格・安定性等を確認しながら
3. 非臨床試験(主に動物実験で、薬理試験、薬物動態試験、毒性試験)
4. 臨床試験(人でも実験)
5. 製造販売後(医薬品の出荷管理・工場管理、副作用情報管理)

この中で、具体的なGxP規制が効いているのは、
3の非臨床試験の試験の中の毒性試験、薬理試験の中の安全性薬理に関する部分に”GLP(Good Laboratory Practice)”がかかわり、
4の臨床試験の部分にGCP(Good Laboratory Practice)そして、
5の製造販売後のところで、医薬品工場・会社に対して、GMP(Good Manufacturing Practice)、GQP(Good Quality Practice)、
また、会社の副作用管理機能に対し、GVP(Good Vigilance Practice)、GPSP(Good Postmarketing Study Practice)などの規制がかかっています。

ひとついい忘れませいたが、臨床試験では、治験薬製造の部分に対しても、GMPと同様の規制が”治験薬GMP”という形で、かかっています。それぞれの日本語の正式な名称は下記の通り、

GLP:医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施に関する基準(省令)
GCP:医薬品の臨床試験の実施に関する基準(省令)
治験薬GMP:治験薬の製造管理,品質管理等に関する基準
GMP:医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理に関する基準(省令)
GQP:医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の品質管理の基準(省令)
GVP:医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の製造販売後安全管理の基準(省令)
GPSP:医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準(省令)

これらは、言いかえるとすべて、医薬品の開発段階の”品質管理”の基準であり、
すべて、信頼性の基準(薬事法施工規則第43条)で求めている、正確性と完全性・網羅性、保存の要件を含めて、
申請者に対して、保証および根拠(Evidence)に基づいた証明を求めています。

この中で重要な役割を果たすのがQA(Quality Assurance)という役割であり、
これが、私の仕事のGxP QA の”QA”。

具体的な仕事としては、例えば、作成される承認申請資料の試験データが、
「正確で、うそのない、倫理的にも問題ない方法や根拠データでできているかどうか」
を 第3者的な立場 で検証する役割。

仕事の行為としては、監査、自己点検という言葉で表されますが、
上記を検証し、検証結果を報告するのが、QAの役割であり、各医薬品規制で、QA機能の内容(手順)、結果(検証結果)についても報告が義務ずけられています。

この”QA”ということば、意味をたどっていくと、いくつも考え方があり、深ーい意味があったり、期待が込められています。
次は、このQAという言葉の種類、役割について、もう少し解説してみます。

今日は、以上。

GxP QA コンサルタントという仕事 薬事法(2) イロハ・・

昨日に続き、承認申請資料作成に関するところの薬事法についての解説です。

CTDの施行以来、使わなくなった申請資料の項目の分類ですが、
イ ロ ハ ニ ホ ヘ ト というものがあります。

この イ・ロ・ハ・ニ・ホ・ヘ・ト は、もともと、薬事法施工規則の条文の番号によるものだと思われますが、内容的には、下記のようなもので、

これが、当時(CTD前)の医薬品の承認申請資料の章建てのようなものになります。
当時も承認申請資料の信頼性の基準はあり、
① 確実性、 ②網羅性、完全性、③保存 の原則はありましたが、特に②の完全性の部分については、薬理を中心にあまり守られていなかったようです。

これが、一昔の医薬品の承認申請資料の章建てになりますが、内容が試験の種類ごとで、サマリーが細かく分かれていないので、日本人の現場でのやるべき仕事を考えるとき、分かりやすい構成になっています。

CTDでいくと、
ロ、ハ、:モジュール3の品質
ニ、ホ、ヘ、:非臨床試験
ト: 臨床試験

になりますが、前日の書き方で行きと、
への「急性毒性、亜急性毒性、慢性毒性、催奇形性その他の毒性に関する資料」、
いわゆる”毒性試験データ”と「臨床試験」には、信頼性保証、という保証が求められています。

人の実験(臨床試験)では、”信頼性保証”ではなく、”監査”という言葉を使っています。

また、GMPではあくまでも信頼性というより品質保証(100%)を求めてきます・

一方、へとトでは、私の担当する仕事である”監査部門”や、”信頼性保証部門”の仕事についてある程度プロセスを監視するようになっていますが、100%保証ではなく、GMPで元求めるところの品質保証とは少しニュアンスもことなっているような気がします。
以下、条文を示します。

イ 起源又は発見の経緯及び外国における使用状況等に関する資料、
ロ 製造方法並びに規格及び試験方法等に関する資料、
ハ 安定性に関する資料、
ニ 薬理作用に関する資料、
ホ 吸収、分布、代謝、排泄に関する資料、
へ 急性毒性、亜急性毒性、慢性毒性、催奇形性その他の毒性に関する資料、
ト 臨床試験の成績に関する資料、

具体的にはこんな書き方がされています。
下記のような対応で各分野とも別れてしまいますが、監査ニーズに関しては、
安全性、臨床分野だけでなく、この領域すべてにひろがってきていることを感じています。

3.第3部(モジュール3):品質に関する文書(薬事法施行規則(昭和36年厚生省令第1号。以下「規則」という。)第40条第1項ロ及びハに相当する。)
(1)第3部(モジュール3)目次
(2)データ又は報告書
(3)参考文献
4.第4部(モジュール4):非臨床試験報告書(規則第40条第1項ニ、ホ及びヘの一部に相当する。)
(1)第4部(モジュール4)目次
(2)試験報告書
(3)参考文献
5.第5部(モジュール5):臨床試験報告書(規則第40条第1項への一部及びトに相当する。)
(1)第5部(モジュール5)目次
(2)全臨床試験一覧表
(3)臨床試験報告書
(4)参考文献

詳しくは、こちらから確認を ↓
http://www.pmda.go.jp/ich/m/m4_ctd_sankou_09_7_7.pdf

ところで、酔って、頭が回らなくなってきたので、続きはあした。

次は、薬事法(3)で、医薬品のライフサイクルと薬事法上のGxPですね。

GxP QA コンサルタントという仕事 薬事法(1)

医薬品の承認申請資料の作成に関して、
薬事法施工規則第43条に”承認申請資料の信頼性の基準”というものがあります。

この法律が、私のGxP QAという業務のベースになる法律です。
医薬品の承認申請に関すること、副作用情報に対する取り扱いについえは、ICH(International Conference on Harmonaization)という国際会議で、統一化が進んでいるところですが、日本国内では、この信頼性の基準をベースに、さまざまな法的対応がとられています。

医薬品の承認申請資料については、CTD(Common Technical Document)として、国際的にもハーモナイズが進んでおり、ここで、下記のように構成が示されています。
このうち、QA(Quality Assurance 品質保証)が求められているのは第4部の非臨床試験のところと、第5部の臨床試験のパート。他にも社内的な対応でQAを設定しているところもありますが、基本は、この2つのモジュールで、QAが求められています。

第1部(モジュール1) 申請書等行政情報及び添付文書に関する情報
この部(モジュール)には、例えば、当該地域における申請書又は添付文書(案)といった各地域に特異的な文書が含まれる。この部(モジュール)の内容及び様式については、当該規制当局が定めることができる。

第2部(モジュール2) CTDの概要(サマリー)
第2部(モジュール2)は、薬理学的分類、作用機序及び申請する効能又は効果等の当該医薬品の全般的な概略から始めること。原則として、この緒言は1ページ以内にまとめること。第2部(モジュール2)は、品質に関する概括資料、非臨床及び臨床に関する概括評価で構成すること。それに引き続き、非臨床試験に関する概要文及び概要表、並びに臨床概要を提出すること。これら概要の個々の構成については、CTD-品質に関する文書の作成要領に関するガイドライン(M4Q)、CTD-非臨床に関する文書の作成要領に関するガイドライン(M4S)、及びCTD-臨床に関する文書の作成要領に関するガイドライン(M4E)のそれぞれのガイドライン中に規定するものである。

第3部(モジュール3) 品質に関する文書
品質に関する資料を、CTD-品質に関する文書の作成要領に関するガイドライン(M4Q)に記載された様式で添付すること。

第4部(モジュール4) 非臨床試験報告書
非臨床試験報告書を、CTD-非臨床に関する文書の作成要領に関するガイドライン(M4S)に記載された順序で添付すること。

第5部(モジュール5) 臨床試験報告書
臨床試験報告書及び関連資料を、CTD-臨床に関する文書の作成要領に関するガイドライン(M4E)に記載された順序で添付すること。

具体的には、次の3つのことを順守するよう、この法律では求めています。

第1号 正確性
当該資料は、これを作成することを目的として行われた調査または試験において得られた結果に基づき正確に作成されたものであること。(第1号)

第2号 網羅性、完全性
前号の調査または試験において、申請に係る医薬品または医療機器についてその申請に係る品質、有好性または安全性を有することを疑わせる調査結果、試験成績等が得られた場合は、当該調査結果、試験成績等についても検討及び評価が行われ、その結果は当該資料に記録されていること。(第2号)

第3号 保存
当該資料の根拠となった 資料は、法第14条の規定による承認を与えるまたは与えない旨の処分の日まで保存されていること。ただし、資料の性質上その保存が著しく困難であると認められるものにあっては、この限りではない。(第3号)

また、この中で、特に具体的に、承認申請資料の品質を求めている部分が、
非臨床試験の安全性試験(毒性試験等)であり、臨床試験です。
この2つについては、別に、それぞれ省令を定め、品質管理の徹底を促しています。

GLP基準
医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施に関する省令(平成9年厚生省令第21号)
GCP基準
医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成9年厚生省令第28号)

この2つの省令で出てきている、信頼性保証部門(GLP)、監査部門(GCP)が、私の仕事のQAに当たる部分になります。

今回は、ここまで。 
次は、同じ申請資料の構成の考え方で、イロハニホヘトについて、解説します。